各出店の前にはイスが2、3脚おかれている。
 そこに座ったお客さんとの会話もはずむ。

 漁師さんたちは、漁から帰ってくるとサザエ、イワガキ、イガイなどの貝類は種類別に大きな網に入れて船の近くの海中に沈めておく。中でもサザエを入れる網にはエサとなる海藻のアラメを入れることを忘れない。「こうしてアラメを入れておけば、サザエはいつまでも元気でやせることもねえなあ」という。確かに前日から海中に入れているという網のアラメはかなり食べられた跡がある。
 久子さんはサザエなどの商品が少なくなってくるとすぐ下の船着き場に降り、 夫の沈めておいた網から貝を取り出して補充する。さすが海中でエサを食べ続けていたサザエだけにスーパーなどの店頭に並べられているものとは動きが違う。手に持ったままでも貝殻から身を乗り出し、くねくねと大きく動く。
 門前地区の売店では販売のほか、その場で器用に殻をむきイワガキやサザエを生で 食べさせてくれる。それにしても、浜のかあちゃんたちの殻のむき方は鮮やかだ。
 夕方に店じまいすると商品の貝は再び海中に沈めて、翌朝再び店頭に並べられる。 だからいつでも鮮度はバツグンというわけだ。
 門前地区の直売所は例年、6月中旬から10月初旬まで開かれている。
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