茶褐色のギバサに熱湯をかけると鮮やかな緑になり、台所に磯の香りが漂う
包丁でトントンたたくと、しだいに粘りがでてくる

 ところでこの海藻を全県的に好んで食べているのは全国でも秋田県だけといわれている。かつて県外にギバサを買い付けに行った業者は「誰も食べないこんな海藻をたくさん買ってどうするのか?」と聞かれ、恥ずかしくて食用とは言えず、とっさに「馬のエサ用だ」と答えたという話しもある。
 このギバサに姿形がよく似ているのが男鹿でジバサと呼ばれている海藻だ。こちらはホンダワラ科のホンダワラで、佐渡では銀葉草(ぎんばそう)、山陰では神馬草(じんばそう)とも呼ばれている。ジバサは繁殖力が弱く、県内では男鹿半島周辺の海域でしか確認されていない。県外でも高級品扱いされ、その値段はギバサの20倍以上はする。男鹿の漁師さんたちはジバサの美味しさを知っているので、ギバサには見向きもしないのだ。
 料理法はギバサと同じだが、香りや歯ごたえはギバサより数段上だと地元の人たちも賞賛する。しかし残念ながら男鹿一帯での水揚げは年々減少し、幻の海藻になりつつある。


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