現在、稲庭の里(湯沢市稲庭地区)には複数のうどんメーカーがあり、それぞれ伝統の製法を元にうどん作りを行っている。各メーカーによって若干の違いはあるが、基本的には昔と変わらぬ手造り。その工程は大きく分けて「練る」「綯う」「延ばし」「乾燥」からなる。
まずは、原料の小麦粉に塩と水を加えて練る作業。職人は長年の経験からその日の気温や湿度に合わせて塩分や水の配合を微妙に変える。これぞまさに職人技。丹念に練り上げた生地は約一中夜寝かせて熟成させる。
熟成させて腰の強くなった生地は薄く延ばして細く切る。これからが稲庭うどんを象徴する「綯う」作業。職人たちは2本の棒を差し込んだ作業台の前に座り、生地を細く伸ばしながらよりをかけ、2本の棒に8の字を描くようにあやがけする。両腕は棒と棒の間を上から下へ、下から上へと動き続ける。これは、まさに目にも止まらぬ早業で、実にリズミカルだ。
「よりをかけながら延ばすことによって太さが均一になり、より腰が強くなる。この工程は難しく時間もかかります。でも、ここがおろそかになれば、食感に違いが出る。どんな優秀な機械屋さんでも、この微妙な手の動きを再現することはできないでしょう」と工場の責任者はいう。
「稲庭うどんは、確かにおいしい。でも、どうしてこんなに高価なのかよく分かりませんでした。でも作業工程を見て納得しました。生地作りから乾燥まで職人さんたちの大変な手間がかかっているんですね」。工場を見学したお客さんの一言だ。
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